コートを30着捨てたわけ。




朝起きて
「今日ちょっと寒いね」なんて言える日常がついにやって来ましたね。



本来寒いのも暑いのも得意ではないのですが

今年は夏の暑さが長く厳しかったせいか

このやっと来た寒さが嬉しく感じられています。(じきに、はよ春来い!って言い始めると思いますが。)



寒さを感じるようになって
ウキウキと考えられるようになったのが「今年のアウター、さぁどうする??」と言うこと。



私は今まで40着以上のコートを縫って来たのですが(ジャケットを合わせると50着くらい。)


実は今、手元にあるのは

厳選された9着のみ。(ジャケットは含まない。)




と言うのも去年の冬あたりから少しずつワードローブを見直していて

着ていないコートはスパッと処分してしまったからなのです。





そう

コートをおよそ30着、手放しました。


と書くとソフトだけれど



ここは敢えて30着捨てました。と表記。







え〜衝撃〜〜!!



でしょ。






洋裁を始めた頃からアウターと言うものには特別な思い入れがあって

特にコートに関しては作れることの喜びを抑えることなくじゃんじゃか縫いました。




映画で観たあのデザインを
あの女優さんの雰囲気で着られるデザインを
大好きな50年代後半〜60年代にかけてのクラシカルなデザインを!



と言う様にいくらでも形にしたいと言う思いがありましたから。







そんな思いのままに仕立てたコートたち。

どの1着も無駄だったものは無いと思っています。



記憶を辿ると、洋裁におけるわたしのコート人生は

もうすぐ30歳になりますよ、な春に初めて1人で仕立てたピンク色の大きなお襟のコートから。




そこから思うがままに仕立て続けて

この10年間で色んなデザインや色のコートを楽しみました。



たくさん作って色んなデザインのコートに袖を通して来たからこそ

自分に似合うもの、自分のすきなもの

の輪郭がはっきりとし



これからも一緒に時を重ねたい。と思える9着を選ぶことができました。



コートを捨てた。


と聞くとなんてもったいない!と思うところなのですが


実は私には作って来たコートの存在と同じくらい大切な

ボタンを救済したいと言う思いもあったのです。



作った時は、もちろん1着1着魂を込めているので

ボタンも大切なヴィンテージや旅先で選び抜いて来た思い出深い物たちを付けてあるものも多く

中にはシャネルのプレタで使われていたヴィンテージボタンや同ブランドのオートクチュールボタンなどもあったのです。
(もちろん普通に手芸屋さんで買ったものや1個200円くらいかな?と言うボタンもたくさんあります。)




ほとんど着ていないコートをアーカイブとして残しておくと言う事は

そのボタンたちも凍結させている状態という事。


それはそれは、、、なんてもったいない。



これは今まさに着たいと思えるコートにアップサイクルする時が来たってことだわ!!



と言う思いが強くなったので


ハサミを取り出しビシバシとボタンを取って

愛情を持って今までのコートたちにお役目を終えてもらいました。




つまり、私はこれからもまた40着
縫うつもりがあると言う事。


しかも今までの10年間でじっくりと好みと似合う色や素材や形を吟味して来た状態で。





と言う事で
Diorっぽいコートだってサンローランっぽいコートだって縫います!


大好きなシネマティックなコートを今までの経験を元に

より長くお付き合いしていけるように大切に丁寧に仕立てていくつもり。




そして、まだ未経験なデザインにも積極的に挑戦していきます。




憧れを形にして、それに袖を通す喜び。

この10年間、ほんとに楽しくて幸せでした。



これからの10年も、自分を喜ばせる服作りができるなんて幸せすぎるなぁ。





そんな気持ちでたまたま訪れた鳥居株式会社さんで

まさに今の気分なピンク色のコート生地と出逢ってしまいました。



運命だ。って思いました、あの薄暗い店内で。



最近こんな綺麗なコート生地にはなかなかお目にかかることが無かったから

隣に並んでいたブルーも買っちゃった。






いやぁ、またこれから忙しくなりますね。

勝手に忙しくしちゃうぞ〜!とワクワクしています。




もうすぐ12月、みなさんは年末年始をどんなコートで迎えますか?

キラキラのシーズンをキラキラな気持ちで過ごしたいですよね。





それではまた☺︎

I LOVE YOUR DRESS!

50年代60年代のシネマファッションに憧れる moiponの洋裁日記。