わたしは、なぜ服を縫うの?



「ところで、そもそも服を作る人たちって何で自分で縫うの?


普通の服屋で服も買うって言ってたよね?」





これはある日、知り合いの男性から

会話の流れで問いかけられたもの。





「服作りする人でも、服屋さんでも服を買うって言う人がほとんどだよ。」という前知識は私がそれまでの会話で伝えていたもので



そもそも
この質問の主である男性は

“服を縫う=ハンドメイドマルシェなんかで売っているようなナチュラルな服が好き。”(だから皆んな雑誌などには興味ない。)


と思い込んでいるふしがありました。





もちろん、手作りの温かみを感じられるような

袖を通すとホッと優しい気持ちになるようなナチュラル感のあるお洋服が好きで服作りをしている。


と言う方はたくさんいますよね。




でも、そうじゃなくて

好みがそれこそ普通に世の中にある雑誌に載っているものであったり

街で普通に見かけるような、ある程度流行を取り入れた服装をする人も、自分で自分の服作りをする(私もこちらに入るから。)。




そう伝えた結果

彼の口から出たのが冒頭の質問でした。






売ってるのに何で?

それは安く済むから?(これ、1番むかーってくる質問ですよね。)

作るの自体が楽しいの?



など、いろいろと疑問が湧く様子。(この人は別に喧嘩は売っていません。めちゃくちゃおしゃれで良い人だし、ほんとにキョトンとした顔して聞いていたから。)






たしかに、、、



何で服を作るの?と聞かれたら


何て答えたら良いのでしょう?





私の場合

「世界でたった一つの」に大きな価値を置いているわけではないし

かと言って、作ったものがほんとに世の中に無いか?と言われたらそうでも無い気もする。



特に夏服なんかだと

イエナ(と言うお洋服ブランド)で見かけたワンピースからアイデアを貰って作ることもあるし

雅姫さんのブランド、ハグオーワーみたいな花柄に惹かれて作ることもある。




となると、、



せ、せ、せつやく?



私、節約のために縫ってるのかな?




確かに、仕立て代は自分持ちだとしても
生地代だけで考えたら買うより安いよね。




だから、正直なところ

「作った方が安いから?」と言う1番むかーっと来る質問も、100%否定できないんだよね。




なるほど、否定しきれないから

それだけじゃないですけどー!?

私の労力、時給でいくらだと思ってんのよー!?(いくらだよ、って感じですが。)

あんたには分からないこだわりがあるんですけどー!!




みたいな「違う違う違う!」と言いたい感情がブワッと出てきてしまうのかもしれないなぁ。






でもね、やっぱり値段だけじゃないなぁと。

だって、極端な話


100億円もらっても、服作りはしたいから。



100億円もらったら、アントワープの王立芸術アカデミーのファッション学科に裏口入学したいとか(授業は通訳つけます。富豪だから。)


ディオールの工房にコネでインターンに入らせてもらいたいとか


そう言う近道とか、よこしまな考えは浮かぶけれどね。





でも、昔々の服作りを始めた頃の記憶を辿って自分の服作りを始めた種みたいなものを探してみると



当時は今よりもずっと理想的な服への憧れが強くて(これは手に入らなかったから)

それを自分の手で作り出すことを夢見ていたこと。


シネマの世界の中にいる

オードリーやグレースケリーやジーンセバーグの服に強い憧れがあったこと。



この二つがやっぱり主な理由である気がします。



でも、洋裁を始めてからしばらくたっても

それは全然現実的じゃなくて、作れる様になっている手応えがなかった。


理想的なシネマのお洋服が作れるように、、、ほんとになるのかしら?

この調子だと無理なんじゃ無い?と正直思っていたんです。

(教わった洋裁の学校の先生たちには申し訳ないけれど、自分の理想からはかなり離れたテイストだったのです。)


その不安な気持ちがありながらも、「わたしは学びが遅いからしょうがないや」と割り切って続けていたら

自分の服作りの形みたいなものが少しずつ見えてきて


そしたら途端に楽しくなってのめりこみました。




でもそもそも「学びが遅いからしょうがない」と割り切ってでも続けられたのは、

きっと頭の中で想像したものを形にするということが単純に楽しかったからなのだと思います。




うーーーーん、これほんとかなぁ。


ほんとな様な気もするけれど、文章にしたら自分でも嘘くさく感じてしまう。



やっぱり分からないかも。




自分のことなのに、そして一番情熱と時間を注いでいることなのに

はっきりと分からない。そんなことってあるんですね。




みなさんは、どうして服を作っていますか?








と言う事で長い前置き失礼しました



今年も大好きなプリティー・ウーマンドレス、

大人っぽいリゾートスタイルにアップデートして完成です!

見えていないのですが、ロング丈〜マキシ丈と言われるくらいの丈感です。



ちょうど良いサイズ感というものが、実は決まりきっていなくて


私の場合は毎年

今年のフィット感はこれ。と言うものが変わる気がします。




去年はどちらかと言うとタイト好みだったのですが

今年は服がちょっと余るくらいのゆとりが気分。

しかし骨格の特徴的に膨らませたら膨らませただけ膨らむので

抑えるところは抑えてあります。




骨格と言えばそもそもギャザースカートが似合わないんだけれど

やっぱりギャザースカートって、、、かわいいし。




特にウエストの下あたりまでグッと絞ってあって

フワッと広がる感じが好きで


こう言うデザインを着ているときはどうしてもバレエを習っている人みたいな気分で

姿勢良くガニ股(イメージ!)でペタペタと歩きたくなる。




映画で見るオードリーの歩き方ってバレエっぽいよね?


そんなイメージを一人で楽しみます。



ベルトを挟むデザインなのでスカートのみに裏地でも良かったのですが

生地が薄手なので上身頃にもつけた方がインナーのラインを拾いすぎなくて良いかなと思って総裏です。




めんどくさいけど、やっぱり服自体がしっかりした感じ。


ウエストベルトの前の部分はランダムに折り畳んであります。


太めのベルトの時、ここが薄くのっぺりしているとお腹の立体感を拾っちゃう原因になる気がして

なるべくデザインというか目眩し作戦を使いたくなります。



うしろの編み上げリボンはピンポイントで写すとさらに可愛く見えますネ。







前から見た感じ。


ギャザースカートって初心者の方の第一歩目の作品として推奨されがちだけど

1番奥深いと言うか難しいデザインだなぁと思います。




私はなかなか似合うギャザースカートのデザインにたどり着けなくて

こりゃもう骨格ですから。と諦めていたのですが

やっぱり、その人その人の抜け道というか
どうにかできるポイントってあるみたい。



去年カシュクールワンピースを作った時に、ベストなバランスをやっと見つける事ができたから

スカートでは難しいけれど、ワンピースならOK!としています。



でも欲を言えばスカート でも

よしよし、なかなか良い!


と言えるバランスを見つけたいな。






自分にとって似合わないものの似合うバランスを見つける。

もしかしたら

これが今、わたしが服作りで一番やりがいを感じているところかも。




憧れを形にする事は大前提としてあって


その次に似合わないものを似合わせる事にチャレンジする。



チャレンジだから、毎回実験のように結果があって

それも飽きないポイントなのかなぁ。





でもこれって、洋裁しない人に

なかなか一言で説明してもピンと来てもらえなさそうだよね。










みなさんはどうして、自分で服を縫っているのですか?(2回目)




という問いを残して、今日はここまで。


明日からはまた新しい服作りに取り掛かります。


夏だから、ちょっとマリンな気分もいいなぁなんて思っています。



それではまた!


I LOVE YOUR DRESS!

50年代60年代のシネマファッションに憧れる moiponの洋裁日記。